どんな選手?
引用:njpw.co.jp
新日本プロレスは現在、G1 climax31を開催しており、連日アツい試合を繰り広げております。
AブロックとBブロックに分かれてリーグ戦を行いますが、その中でも好調を見せている選手の1人が、このザックセイバーjr選手です。
ザックセイバーjr選手(以下ザック選手)はイングランドのケント州シェピー出身のレスラーで、1987年生まれの34歳です。
まだ若い選手ですが、なんと17歳でプロレスデビューをしているため17年のキャリアがあります。
レスリングや柔術のムーブメントを多用し自由自在にサブミッションや丸め込みで攻められる選手です。
最近のレスラーの中では今までにないタイプのレスラーですし、なぜ最近好調なのかを考察したいと思います。
今までの実績は?
ザック選手は17歳で地元イングランドのNWA-UKハンマーロックにてデビューし、翌年に同団体のジュニアヘビー級のベルトを巻いています。
また、子供の頃からイングランドのテクニカルなレスラーに憧れを持ち、それがルーツとなり今のファイトスタイルがあるそうです。
2006年にRPWのリングでNOAHの潮崎選手と対戦したことをきっかけに、2008年にはNOAHのイギリス大会で金丸義信選手と対戦してます。
実力がNOAHから評価され、その後金丸選手が持つGHCジュニアヘビーのベルトに挑戦したり、当時NOAHにいた石森太二選手と試合をしたりと徐々に評価されるようになりました。
引用:ザック選手instagramより
その後高い評価を得たザック選手は2011年から2015年までNOAHに参戦しているため、当時NOAHにいた現在新日本プロレスで活躍するKENTA選手や金丸選手、石森選手とは10年ほど前から戦っていた仲なんです。
また、当時はNOAHの小川良成選手とタッグを組み、獣神サンダーライガー選手・タイガーマスク選手が保持するGHCジュニアタッグ王座へ挑戦し、見事奪取しています。
2016年からはアメリカ、イギリスを主戦場とし、2017年から新日本プロレスへ参戦しています。
ここまで見ると、元々ジュニア戦線で戦っていたのが、現在新日本プロレスではヘビー戦線で戦っているのがわかりますね。
また、日本での滞在期間も長いため日本語もお上手なのも納得します。
身体機能の特徴は?
引用:wikipedia
彼は現在、ヘビー級の試合に出ているわけですが、まず彼を見て思うことは、ヘビー級のレスラーにしては「線が細い」ですよね?
実は183cm , 85kgと体重は100kgを下回っているのです。
そう、階級的にはジュニアヘビー級でも戦えるのですが、あえて体重的には不利なヘビー級の中で戦っているのです。
彼は自身のことをバックステージやリング上で「soy boy(大豆少年)」「vegan(ヴィーガン)」などと呼んでいますが、彼は自身が vegan:完全菜食主義 と公表しています。
ザック選手へのインタビューでこんな記事があります。
「自然食品で健康的に体調管理ができている。自分の理想は頭脳明晰に小よく大を制すレスリング。今の食生活はそういう意味で非常に役立っている。決して全員にオススメできるわけではないけどね。」
引用:東スポweb
ヴィーガンと言うのは、動物性タンパク質を摂らない主義の方のことです。
近年アメリカ、ヨーロッパを中心に広がっているもので、日本でもヴィーガン専門のお店なんかもあったりします。
だから肉だけでなく、牛乳や卵なんかも摂取しないそうです。
レスラーにとって不可欠なタンパク質は、大豆を中心として補給しているみたいですね。
ここではヴィーガンについての話は控えますが、これまで特にプロレスにおける強い体作りには肉!となっている世界では珍しい選手ですよね。
それだけ普段から自身の体の動きや体調に細かく気をつけていると言う事ですね。
ザック選手の場合、ヴィーガンだから体重が少ないのか、あえてファイトスタイルに合わせた体型をコントロールしているのか、詳細はわかりません。
しかし、183cm , 85kgという体型はレスラーの中でも珍しく、身長はヘビー級だけど体重はジュニアヘビー級、と言ったところでしょうか。
なんで強いの?
オリエンテーリング・ウィズ・ナバーム・デス
引用:njpw.co.jp
ジュニアヘビーからヘビーへ転向し活躍している選手は数多くいます。
例えば、飯伏幸太選手、鷹木信悟選手、内藤哲也選手、ウィルオスプレイ選手が挙げられます。
それらの選手の多くは、ジュニア時代のスピードや空中殺法を残しつつパワーをつけるのが特徴的です。
ザック選手の場合は、ファイトスタイルはジュニア時代もヘビーの現在も大きく変わらず、テクニカルなスタイルのままです。
では、なぜヘビー級相手に勝つことができるのか。
ポイントは、【体の使い方】にあると思います。
例えば、引っ張ったり、持ち上げたりする力で100kg以上のヘビー級選手と競っても勝率は低いですよね。
しかし彼の場合は、自身の重心の位置をコントロールするのが上手いため、タイミングをズラしたり、一瞬の隙に反撃できたりするのです。
なので相手が攻めていたはずなのに、いつの間にやら丸め込まれたりサブミッションを極められたりするわけです。
引用:東京スポーツ新聞
体の使い方で言うと、ヘビー級のレスラーは体が大きくパワーが強いですね。
さらには長年のダメージの蓄積で首や肩、腰、膝に負傷箇所があるのは当然です。
簡単に言うと、ジュニア選手より筋肉が大きい分特に肩の可動域が狭いこと、100kg以上のウェイトを支え続けることで膝や腰が慢性的に悪いことが考えられます。
ザック選手のサブミッションはこれらの関節をひたすらに伸ばしまくるわけです。
ただでさえ動きが悪くなっている関節を彼はめちゃくちゃ攻めるのです。
このタイプはこれまでのヘビー級選手にはいなかったため、相手選手からしても自分の弱点となる箇所をずっと攻め込まれるためかなりキツいと思います。
さらにパワーのある選手は関節を伸ばされた際に筋肉を収縮させて対抗しますが、筋肉が収縮しながら引き伸ばされていくのを【遠心性収縮】と呼びます。
この遠心性収縮により筋肉は筋断裂を引き起こしやすいとの研究報告もあるため、
関節技で攻められるとパワーで対抗するヘビー級選手は余計にキツいと考えられます。
最後に
今回は技の解説ではなく、ザック選手について考察してみました。
これまでにないタイプの選手であり、理学療法士の自分としては彼のファイトスタイルはかなり興味深く観察してしまいます笑
今度の彼の試合も要注目ですね!
今回はこれで終わります(^^)
ありがとうございました!
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