どんな技?
引用:njpw.co.jp
引用:njpw.co.jp
新日本プロレスのオカダカズチカ選手が最近使用する技で、これまで必殺技として使っていた【レインメーカー】を封印して、この技【マネークリップ】をフィニッシュ技として使っています。
以前から存在する【コブラクラッチ】という技の派生系で、従来のコブラクラッチと違い、相手の手を後方で掴むのが特徴です。
⬇︎アントニオ猪木選手へコブラクラッチを仕掛ける坂口征二選手
引用;http://www.showapuroresu.com/waza/cobrac.htm
相手の手を掴むことで動きを封じ、逃げにくくしているのもポイントです。
形はやや異なりますが、現zero1の大谷晋二郎選手がジュニアからヘビー級へ転向した際に【コブラホールド】や進化系の【キングコブラホールド】という技を使用していましたね。(マニアックですかね?笑)
以前からプロレス界では使われている技ですが、今回オカダカズチカ選手が使っている技、変形コブラクラッチ【マネークリップ】についてどこに効くのか考察、解説したいと思います。
⬇︎後ろで手を掴むのが特徴的なマネークリップ

引用:プロレス/格闘技DX

どこに効くの?
ではこの技はどこに効くの?
という疑問について考えます。
結論を言うと、
【頸動脈圧迫による脳血流量低下に伴う失神、呼吸苦】
が考えられます。
それらについて考察していきます。
なんで効くの?
ここで解剖学のお話をします。
皆さんは頸動脈って聞いたことありますか?
以前、【スカルエンド編】でも頸動脈の話をしましたが改めて説明します。
頸動脈とは心臓の大動脈から脳へ向かう動脈の一部で、一般的に言われる頸動脈は正式には【総頸動脈】と呼ばれます。
総頸動脈は、首の左右を通って様々な分岐を経て脳へ血液を送る、言わば脳へ栄養を届ける大事なトンネルです。
心臓の血液を脳に送るために必要不可欠な血管が総頸動脈というわけです。
そんな総頸動脈を圧迫し脳への血流を一時的に止めることで失神が起きます。
ちなみに失神についてですが、
「一過性の意識消失の結果、姿勢が保持できなくなり、かつ自然に、また完全に意識の回復が見られること」
と定義されています。(日本循環器学会)
また、
【脳循環が6〜8秒間中断されれば完全な意識消失に至る】
Sheldon R, Killam S. Methodology of isoproterenol-tilt table testing in patients with syncope. J Am Coll Cardiol 1992; 19: 773-779.
と報告されており、一時的に脳へ血流が行かなくなることで意識が朦朧とした後に意識消失し、次第に復活するというのが特徴的な状態です。
マネークリップでは写真を見てわかる通り、ちょうど総頸動脈が走行する部分を圧迫しています。
引用:njpw.co.jp
だからこそジンワリと脳への血流を阻害し意識を朦朧とさせられるんですね。
だから効く
あと注目すべき点は、肩も固めていることです。
固める方向としては、【首元を詰まらせる】には向いている動きだからです。
引用:プロレス/格闘技DX
固められている腕を見て下さい。
腕を上げて自分の後頭部を触るような姿勢ですね。
まずこの動きで強制的に首と腕が寄せられるため首元の筋肉は圧迫され、それだけでもやや呼吸はしにくくなります。
さらには肩や首が慢性的に痛い、可動域が狭い選手からするとそれだけでも苦しいと思います。
そこに先程説明した通り脳への血流が制限されるため、余計に苦しく感じることが予測されます。
試合終盤にやられるとなおキツいのは想像がつきます。
最後に
今回は新日本プロレス、オカダカズチカ選手の技、
【マネークリップ】
について解説してみました。
一見すると、どこに効くの? 本当に痛いの?
なんて思ってしまう技の1つだと思います。
従来から使われている技の変形ver.をフィニッシュ技として定着させようとしているのは、個人的には素晴らしいと思っています。
レスラーとしてはいろんな技で試合をキメれる方が有利ですからね(^^)
今回の記事をキッカケに改めてプロレスの魅力を感じていただけたら幸いです。
今回はこれで終わります!
ありがとうございました(^^)
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