卍固め(オクトパスホールド)ってどこが痛いの?

プロレス技

どんな技?


引用:日刊スポーツ

卍固めは別名オクトパスホールドとも呼ばれ、かつては新日本プロレスの創始者、アントニオ猪木氏が使う技として有名ですね。

最近の選手では、新日本プロレスのザックセイバーjr選手が使っていますね。


引用:週刊プロレスmobile

ここで少しマニアックな卍固めの歴史について少し説明します。

元々はヨーロッパでグレイプヴァイン・ストレッチ(Grapevine stretch)と呼ばれている技で、メキシコのルチャリブレではジャベの一種で、セラヘーラとも呼ばれています。

日本で流行る前から特にイギリス人レスラーが多く使っていたそうです。

日本のプロレス界では1968年にアントニオ猪木氏が披露したのが最初と言われています。

理由は、それまで必殺技として使っていたコブラツイストを他の選手たちがたくさん使用するようになったため、猪木氏の新しい技として卍固めという技が生まれました。

卍固めというのは、技の名前を一般公募した結果、見た目が  に似ているため決まったそうです。
オクトパスホールド は猪木氏が技に入る際にタコのように絡みつくことから由来しています。

そんなプロレス技の代表と言っても過言ではない 卍固め について体の専門家が技のダメージを考察、解説したいと思います。

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どこに効くの?

さて、どこにどんなダメージがあるのでしょうか?

結論から申し上げますと、
【肩関節の強制水平外転による肩関節前方支持組織の伸長ストレスに伴う疼痛】
が考えられます。

このことについて考察していきます。

なんで効くの?

なぜ卍固めは上記のようなダメージを与えられるのか。

肩関節は人の体の中でも最も自由度の高い関節であり、それ故に過度に動き過ぎると関節から外れてしまいます。

肩関節といっても、肩甲骨と肋骨からなる肩甲胸郭関節や、肩甲骨と鎖骨からなる肩鎖関節など、様々な関節で構成されていますが、ここでは肩甲骨と上腕骨で構成される肩甲上腕関節のことを話します。


肩関節は上記の通り様々な方向へ動きます。

そんな肩関節は周りを関節包という膜状の組織で包まれ関節が外れないように機能しています。

さらに表面には大胸筋や三角筋などの大きな筋肉から、肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋などのインナーマッスル(腱板)などによりカバーされ肩関節は安定性を保っています。

簡単に言うと、卍固めは肩関節を無理やり後ろへ伸ばすことで、関節包や前方にある大胸筋や三角筋前部線維などを引き伸ばしているのです。

ちなみに卍固めの際の肩関節は水平外転(水平伸展)と呼ばれる関節運動で、構造上は基本的には30度ほどしか可動範囲がありません。


引用:njpw.co.jp
写真を見てもわかるように30度以上伸ばされてますよね。
ただ実際には少なからず胸椎が回旋したり肩甲骨が動いたりして多少はダメージを回避できますが、とは言え可動範囲を超えるのは避けられません。

関節包には痛みの受容器が多く、強い機械的刺激で時に破れてしまうことがあり、やり方によってはかなりのダメージが加わります。

だから効く

そんな肩関節に大きなダメージを与える卍固めのポイントとして、相手の頭に自分の脚をフックしている点が挙げられます。


引用:日刊スポーツ

先程も説明した通り肩関節の水平外転運動は30度までです。

実は上半身を後ろに捻ったりすれば【見かけ上】は水平外転をしているように見えます。

【見かけ上】後ろに伸ばしているだけでは肩関節にダメージは与えられません。

上半身を回旋させないようにしているのが、あの脚の役割なのです。
頭、頸部を固定してしまえば自然と胸椎の動きも制限されます。

そう、【上半身を回旋して肩関節のダメージを減らす】代償動作を邪魔している訳です。

よく考えられてますよね。
似た技と比較すると、普通のコブラツイストは顔が上がり上半身を捻る動きが入るので、肩関節のダメージはやや軽減しますね。(その分首や体幹へのダメージがありますが)

↓西村選手にコブラツイストをする藤波選手

引用:デイリースポーツ

まとめ

今回はプロレス技の代表的な技である 卍固め について考察、解説してみました。

体の大きなレスラーがやれば素人がやるよりもはるかに強いダメージがかかるのは想像がつきますね。

オリジナル技が増え今ではあまり見ることがなくなった技ですが、日本プロレス界の代表的な技であることに変わりはありません。

今回の内容が少しでもお役に立てれば幸いです。

最後まで読んで頂きありがとうございました(^^)

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