どんな技?
引用:njpw.co.jp
新日本プロレスのタイチ選手が使うサブミッション技で、試合の終盤なんかに使うと相手にかなりのダメージを与えられる技です。
ちなみにこの技【聖帝十字陵】という名前ですが、名前の由来はタイチ選手が【北斗の拳】のファンであることからつけられているそうです。
北斗の拳の聖帝十字陵の詳細についてはご自身でお調べ下さい。笑
さて、この技について、90年代後半から2000年代の全日本プロレスファンならピンと来ませんか?
実はこの技のオリジナルはタイチ選手ではないのです。
元々使っていた選手と言えば、
引用:ord.yahoo.co.jp
そう、デンジャラスKこと川田利明選手です。
川田選手はタイチ選手の師匠にあたる選手で、小橋選手、三沢選手、田上選手と共に全日本プロレスの【四天王】と呼ばれた1人です。
多彩なキック、デンジャラスなバックドロップ、パワーボムなどで三冠ヘビーなど数多くのタイトルを獲得した有名レスラーです。
ちなみに今はリングから身を引き、麺ジャラスKというラーメン屋を経営しています。
話が逸れましたが、この川田選手が使っていた技で、【ストレッチプラム】という技があります。
それがこちら↓
引用:megamatsuko.jp
タイチ選手の技と一緒ですね。
川田選手の付き人をしていたタイチ選手が師匠の技を受け継いでいる。
そう考えるだけでも昔からのファンは感慨深いですね。
そんないろんな歴史も詰まった技、【聖帝十字陵】について、
どこに効くの? どこが痛いの?
そんな疑問について体の専門家の視点で解説したいと思います。
どこに効くの?
ではどこに、どんなダメージを与える技なのでしょうか?
結論を言うと、
【強制的に頸椎回旋・側屈・伸展による頸部へのダメージ、肩関節の強制水平外転による肩前方組織へのダメージ】
が考えられます。
少し難しいかもしれませんが、もう少しわかりやすく噛み砕いて解説します。
なんで効くの?
この技では大きく分けて2つポイントがあります。
まず頸部とは首のことですが、頸部は
回旋(横を向く)
側屈(首を傾げる)
屈曲(うつむく)
伸展(あごを上げる)
この4つの動きを組み合わせて自由に動く構造になっています。
今回の技では、主に【回旋、側屈、伸展】方向への強制的な抑えこみによってダメージを与えています。
これにより伸ばされている側の筋肉は伸長ストレス、抑えつけられている側の首は伸展+回旋+側屈の力が加わることで、より首が詰まる方向へのストレスがかかります。
長年の激闘で首が慢性的に悪いレスラーにはかなりキツい技ですね。
また、2つ目のポイントですが腕をとられている側の肩を見て下さい。
引用:megamatsuko.jp
写真で言うところの相手選手の右腕ですね。
この方向への肩の動きは、専門的には水平外転と言います。
この動きを強制的に行うことで大胸筋、三角筋前部繊維など肩の前側にある筋肉を伸長します。
さらには肩関節を覆っている袋のような役割のある、【関節包】や上腕骨と肩甲骨を繋ぎ合わせるような【靱帯】などを無理矢理引き伸ばすこともできます。
要は肩の前側にある組織を無理矢理痛めつけることができるということです。
ラグビーの試合中、向かってくる相手を腕一本でタックルして止めにかかる際に肩が脱臼することが多々あります。
体全体ではなく腕だけでぶつかる際に腕・肩が後ろに伸ばされる力が強制的に働きます。
そうすると肩の前側にある組織が、それ以上腕が後ろに伸ばされないように本来は制御するのですが、過度に外力が強いと制御しきれず関節が外れてしまうのです。
引用:アフロ
まさに聖帝十字陵の肩は写真のようなポジションになります。
さらに聖帝十時陵では、体幹を腕と反対方向へ捻るためより肩関節をより伸ばしやすくなります。
肩の痛い選手にはホントにキツい技ですね。
だから効く
先程解説した通り、首へのダメージと肩へのダメージが主なポイントになると思います。
さらに頸部が伸展、回旋、側屈方向へ強制的に抑えこまれることで呼吸機能にも影響があります。
頸部の筋肉が過度に捻られたり伸ばされると、呼吸時に必要な頸部の筋肉の適度な緊張が保たれなくなるためです。
頑張って大きく呼吸をすることを【努力呼吸】と言いますが、その努力呼吸には首周りの筋肉が必要になるのです。
さらにさらに、体幹も捻られているため肋骨、胸郭の自由も減ることで呼吸がしにくくなることが考えられます。
もうお分かりかと思いますが、この技は首や肩だけでなく、呼吸機能にもダメージを与えることができる技なのです。
だから試合終盤の息が上がっている場面でやられるとよりキツいんですね。
最後に
はじめに技の由来やタイチ選手の師匠、川田利明選手の説明をしました。
プロレスを長年見て思うのが、選手それぞれにいろんなストーリーがあり、技、仕草などにいろんなものが詰まってるんです。
力道山時代からの相撲文化の影響による日本独自の付き人、師匠のシステム。
この流れにより選手1人1人に様々なストーリーが生まれるんだと思います。
特に今回紹介したタイチ選手は普段ヒール役ですが、彼のファイトスタイルは子供の頃全日本プロレスファンでもあった自分にとって、見ていて本当に面白いプロレスをします。
そんなことを思いながら観戦するプロレスも、より応援したくなりますよね。
今後は技意外の選手の様々なストーリーなんかも紹介していけたらと思います。
今の新日本プロレスには全日本プロレス出身の選手も多いですからね。
では、この辺で終わります!
読んでいただきありがとうございました(^^)
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