【医学的に解説】スリーパーホールドはなぜ効くの?(プロレス編)

プロレス技

どんな技?

スリーパーホールドは、プロレスの技の中でも古典的な技であり、日本ではアントニオ猪木氏がフィニッシュホールドとしても使っていました。

元々は柔道や総合格闘技でも使用される技の1つで、裸絞め(リアネイキッドチョーク)と呼ばれています。

絞め方はフィギュア4(手をクロスさせて絞める)とパーム・トゥ・パーム(手のひら同士を合わせる)方法があり、みなさんがよく知るのはフィギュア4の形だと思います。

フィギュア4スタイル⬇︎

引用:デイリースポーツ

パーム・トゥ・パームスタイル⬇︎

引用:wikipedia

今はプロレスの試合ではスリーパーホールドで試合が終わることは少なくなりましたね。

以前までは鈴木みのる選手飯塚選手が相手を落とすためによく使っていました。

あのアントニオ猪木氏や”プロレス王”鈴木みのる選手が使うスリーパーホールドについて体の専門家の視点で考えたいと思います。

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どこに効くの?

結論から言うと、

【総頸動脈の圧迫による脳血流量の低下に伴う失神】

だと考えられます。

試合解説などでなんとなく聞いたことがあるかもしれませんが、医学的により詳しく解説していきます。

なんで効くの?

スリーパーホールドは簡単に言うと首を絞めています。

しかし、ノドを絞めているわけではありません。

ノドと言うのは、より具体的に言うと気管のことです。

首の中央には気管と食道があります。

画像を見て分かる通り気管は肺に繋がっており、肺へ空気を入れる役割を果たします。

そこを絞めつけるのは大変危険なのでプロレスでは反則になります。

スリーパーホールドでは気管ではなく、両側にある総頸動脈を圧迫しています。

この総頸動脈は心臓から伸びて様々な分岐を経て脳に血液を送っています。

いわゆる血液のトンネルであり、太く体表からも拍動を感じることができる位置に通っています。

まとめると

①心臓から脳へ血液を送るためのトンネル

②太く、体表に近い

となります。

脳にとって大事な血管でありながら、太くて圧迫しやすいため絞められるとダメージが大きいのです。

スリーパーホールドは、よく見ると前腕と腕で首の両側を圧迫しているのがわかると思います。

では、より医学的に考察してみましょう。

だから効く

先ほども説明しましたが、総頸動脈を圧迫し脳への血流を一時的に止めることで失神が起きます。

ちなみに失神についてですが、

「一過性の意識消失の結果、姿勢が保持できなくなり、かつ自然に、また完全に意識の回復が見られること」

と定義されています。(日本循環器学会)

また、

【脳循環が6〜8秒間中断されれば完全な意識消失に至る】

Sheldon R, Killam S. Methodology of isoproterenol-tilt table testing in patients with syncope. J Am Coll Cardiol 1992; 19: 773-779.

と報告されており、

「一時的に脳へ血流が行かなくなることで意識が朦朧とした後に意識消失し、次第に復活する」

というのが失神の特徴的な状態です。

失神に至ってしまうとレフェリーは強制的に試合をストップさせます。

なのでスリーパーホールドは相手を失神させて試合を終わらせるにはかなり有効な技なんだと思います。

総合格闘技なんかでも綺麗にスリーパーホールドが入ると一瞬で試合が終わる場面がありますよね。

最後に

今回はプロレスの古典的な技の1つであるスリーパーホールドを解説しました。

上記で説明した通り、しっかり入ればギブアップやレフェリーストップになりうる技です。

自分自身も実は総合格闘技をしていたことがあり、スリーパーホールドは簡単そうに見えて実は細かいテクニックが多く詰まってる技でもあります。

実はチカラいっぱい絞め上げてもしっかり決まらないなんですね。

シンプルに見えて実は奥深い技なのです。

みなさんはマネしないようにして下さい。

受けるのも、かけるのも、あれは体を鍛えているレスラーだからできることです。笑

最後まで読んで頂きありがとうございました(^^)

ではまた!

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